骨格筋と筋骨格系のてこ

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骨格筋と筋骨格系のてこ

 

バイオメカニクスの知識は、スポーツや運動を含めた体の動きを理解する上で重要です。

どのように身体の動作が起こり、どのようにして筋骨格系にストレスが加わるかを理解している事で、より安全で効果的なトレーニングプログラムをデザインすることができます!

今回は骨格筋と身体のメカニクス(力学)についてお話しさせていただきます。

目次

骨格筋

骨格筋は筋の両端が結合組織を介して骨に付着していることが必要になります。骨格筋が骨に付着している事で様々な動作を起こしたり、外部の物体に力を加えたりすることができます。

近位(身体の中心に近い側)の付着部は起始遠位(身体の中心から遠い側)の付着部が停止と呼ばれます。

筋が骨に付着する方法は様で、筋性付着は筋の起始に多くみられ、筋繊維が直接広範囲の骨に付着して力が分散されやすい構造になっています。

一方、繊維性付着は腱などが混じり合うようにして、筋鞘と骨を取り巻く結合組織の両方を繋いでいます。骨自体にも繊維が伸びており、結合をより強固なものにしています。

身体のあらゆる運動において、複数の筋の動作が関与しますが、筋の動作はそれぞれ

  • 主働筋  ある動きについて、最も直接的に動作を起こす筋。
  • 拮抗筋  主働筋の動作速度を緩めたり止めたりする筋。
  • 協働筋  関節運動において、動作を間接的に補助する筋。

の3つに分類されます。

 

拮抗筋は関節を安定させたり、素早い動作の最後に四肢を止めるのを助けたりする働きをしており、これによって関節構造を保護しています。

例えば、投動作では上腕三頭筋が主働筋として働き、肘を進展させて、ボールを加速させます。その際に肘が完全な進展に近づく2つ入れて、上腕二頭筋が拮抗筋として肘の進展を遅くして動きを止めるように働き、肘を衝撃から保護します。

また、協働筋は2つの関節をまたいでいる筋(二関節筋)が主働筋の場合に、身体の動きをコントロールする作用も持っています。

筋骨格系のてこ

身体には、顔、舌、心臓などてこを通じた作用をしない筋も多くありますが、筋力トレーニングを含めたスポーツ競技や運動に直接関わる身体運動は、主に骨格によるてこを通じて起こっています。

ここでは3種類のてこについて、解説させていただきます。

第一種のてこ

筋力と抗力が支点を挟んで反対側に作用するてこ。

(例:トライセプスエクステンション)

第二種のてこ

筋力と抗力が支点からみて同じ側に作用し、筋力のモーメントアームの方が長いてこ。

(例:スタンディング・ヒールレイズ)

第三種のてこ

筋力と抗力が支点からみて同じ側に作用し、筋力のモーメントアームの方が短いてこ。

(例:バイセプスカール)

 

第二種のてこは筋力のモーメントアームの方が長く、力学的有効性が高いので、発揮する筋力は抗力以下で可能となります。

一方、第三種のてこ力学的有効性は1.0未満のため、抗力のトルクと等しいトルクを生み出すために、抗力以上の筋力の発揮が必要となります。

ここに出てくる力学有効性については下記に詳しくご説明させていただきます。

力学的有効性

てこに加えられた力のモーメントアームと、抗力のモーメントアームの比。力学的有効性が1.0を超えていれば、抗力より小さい筋力で力を発揮でき、逆に力学的有効性が1.0未満の場合、抗力よりも大きい筋力の発揮が必要となるので、筋肉にとって不利になります。

まとめ

骨格筋についてご理解いただけましたでしょうか?

骨格筋の多くは、体内のてこの配置と抵抗する外力の関係によって、力学的有効性がかなり低い状態で働いています。

実際の運動においては、支点の位置をどこにするのかの違いによって、第一種、第二種、第三種のうち、どのてこに分類されるかが変わるため、てこの分類ができるよりも、力学的有効性について理解していることの方がより重要です。

パーソナルトレーナーを志されている方は、テスト対策のために覚えるのはもちろんですが、お客様にトレーニング指導する上でも理解しておかなければいけない基礎知識ですので、今回の記事を参考に骨格筋とてこについて学んでいただければと思います。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

 

 

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